「体は疲れているのになかなか寝つけない」
「睡眠中に何度も目が覚めて、朝までグッスリ寝続けられない」
など、自分の眠りに不満や不安を抱えている人は、睡眠薬を服用してみましょう。
睡眠薬と聞くと「危ない薬」「依存しそう」といったイメージがあるかもしれませんが、用法・用量を守って服用すれば体に負担を与えることはありません。
睡眠薬の力を借りて寝つきや睡眠の質を改善することは、日中のパフォーマンス向上だけでなく健康な体作りにも繋がります。
安全で効果的に不眠症を治していくために、睡眠薬の働きと自分の症状についての理解を深めていきましょう。
睡眠薬の種類を知って使い分けましょう
睡眠薬は、強制的に眠らせるタイプと自然な眠気を誘うタイプの2つに分類されます。
不眠症治療の現場で用いられている多くは、脳に作用して強制的に眠らせるタイプ。
睡眠を確実に確保できるほか、眠れたという実感を得やすいというメリットがあります。
不眠の症状によっては、自然な眠気を起こすタイプを使う場合も。
効果の実感までに時間はかかりますが、夜になると眠くなるという本来の体内リズムを取り戻せるようになります。
脳に作用して眠らせる【強い】
脳に作用して強制的に眠気を起こす睡眠薬は、ベンゾジアゼピン(BDZ)、非ベンゾジアゼピン系、バルビツール酸系の3種類。
ベンゾジアゼピン系 | 非ベンゾジアゼピン系 | バルビツール酸系 | |
特徴 | 催眠作用のほか、抗不安・筋弛緩作用もあります。その分、副作用のリスクが高め。 | 催眠作用に特化していて、副作用が抑えられています。 | 副作用がかなり強く、用量が多いと死に至る場合も。 現在ではほとんど用いられることがありません。 |
強さ | 強い | 中くらい | かなり強い |
購入方法 | 処方のみ | 処方または海外通販 | 処方のみ |
現在用いられているのは、ベンゾジアゼピン系と非ベンゾジアゼピン系がほとんどです。
バルビツール酸系は1900~1960年代に主流だった睡眠薬で、脳への作用が強すぎて呼吸麻痺を招くことも。
死の危険を伴う安全性の低さと、より安全なベンゾジアゼピン系の登場により、バルビツール酸系の睡眠薬が使われることはなくなりました。
強さは作用時間によって判断できます
ベンゾジアゼピン系および非ベンゾジアゼピン系は、効き始めるまでにかかる時間と作用の持続性によって4つに分類されます。
超短時間作用型 | 短時間作用型 | 中時間作用型 | 長時間作用型 | |
即効性 | ◎ | ○ | ○ | △ |
作用のピーク | 服用後1時間未満 | 服用後1~3時間 | 服用後1~3時間 | 服用後3~5時間 |
持続性 | △ | ○ | ◎ | ◎ |
作用時間 | 2~4時間 | 6~10時間 | 20~24時間 | 24時間以上 |
睡眠薬のほとんどが、超短時間~短時間作用型です。
入眠作用が高く、薬の成分が体内から抜けていくのも早いため、安全に使えて効果を感じやすいのが大きなメリット。
ルネスタやアモバン、マイスリー、ハルシオンといった商品が展開されています。
重度の不眠症の場合には、医師の診断や処方のもと中~長時間作用型を使うこともあります。
自然な眠気を起こす【弱め】
自然な眠気を起こす睡眠薬は、メラトニン受容体作動薬とオレキシン受容体拮抗薬の2つ。
いずれもホルモンに作用して、人間の体に備わっている睡眠サイクルを整える働きがあります。
メラトニン受容体作動薬 | オレキシン受容体拮抗薬 | ||
特徴 | メラトニンの働きを助けて、体内リズムを整えます。 | 脳を覚醒させる物質の働きを抑えて、眠気を起こします。 | |
強さ | 中 | 弱 | |
購入方法 | 処方または海外通販 | 処方または海外通販 |
メラトニン受容体作動薬として販売されているのは、ロゼレムという商品のみ。
睡眠ホルモン・メラトニンの受け皿を増やして、生理的な眠気を起こしやすくします。
日本国内ではメラトニンそのものを増やす薬が認められておらず、メラトニンの働きを強化したい場合にはロゼレムを使います。
オレキシン受容体拮抗薬は、ベルソムラという商品。
脳の覚醒させる物質・オレキシンの量を抑えて、覚醒モードから休息モードへの切り替えをスムーズにします。
あなたはどのタイプ?不眠症には種類がある
寝つきが悪い、睡眠を朝まで維持できないなど、不眠の症状はさまざま。
現れる症状ごとに、入眠障害・中途覚醒・熟眠障害・早朝覚醒の4つに分けられます。
不眠症を治すためには、まず自分がどのタイプに当てはまるのかを把握することが大切。
また症状には個人差がある分、「ちょっと眠りにくくなっているだけ」「そういう時期だから」と放置しているとどんどん悪化してしまいます。
・うまく眠れない状態が1ヶ月以上続いている
・睡眠不足のせいでメンタルにも肉体にも不調が起こり、日常生活に支障をきたしている
この2つに当てはまる場合は自然治癒が難しいため、積極的な治療を行ないましょう。
入眠障害
・早く眠りたいのに眠気が訪れない
・布団に入ってから寝つくまでに30分~1時間以上かかる
寝つきが悪いために十分な睡眠時間を確保できないのが入眠障害です。
ストレスや不安を感じやすい人に起こりやすく、不眠症の中でもっとも気づきやすい症状でもあります。
中途覚醒
・睡眠中にしょっちゅう起きてしまう
・夜中に何度も目が覚めて、その後なかなか寝つくことができない
睡眠がこま切れで安定せず、慢性的な寝不足に陥ってしまうのが中途覚醒。
メラトニンが減少し、睡眠サイクルが変わってくる中高年に多い症状です。
熟眠障害
・睡眠時間は足りているはずなのに、疲れがとれない
・どれだけ眠ってもしっかり眠ったという満足感がない
眠っている時間は十分摂れているのに、熟睡感を得られないのが熟眠障害です。
高齢者のほか、神経質な人に多くみられる症状。
早朝覚醒
・アラームに設定した時刻より2時間以上前に目が覚めてしまう
・早過ぎる時間に目が覚め、再び寝つけないまま朝を迎えてしまう
起床の予定時刻よりも大幅に早く起きてしまうのが早朝覚醒。
高齢者に多くみられますが、うつ病の症状として現れることもあります。
症状・目的に適した睡眠薬選び
不眠症の治療において睡眠薬は有効な存在ですが、睡眠薬ならどれでも効くというわけではありません。
自分の症状に適した睡眠薬でなければ、「薬を飲んだのに眠れなかった」とガッカリする結果を招いてしまいます。
どんな症状がツライのか?
どんな風に不眠を治していきたいか?
症状や目的に合った睡眠薬を探してみましょう。
即効性で選ぶ
とにかく早く寝つきたいという人には、超短時間作用型の睡眠薬がおすすめです。
通販で買えるの商品には、ハイプロン、ハイプナイト、ソクナイト、フルナイト、エスゾピックなどがあります。
商品名 | 効果発現 |
ハイプロン | 15~20分 |
ハイプナイト | 30分~1時間 |
ソクナイト | 30分~1時間 |
フルナイト | 30分~1時間 |
エスゾピック | 30分~1時間 |
即効性の高い睡眠薬は、作用時間も短め。
そのため入眠障害には非常に有効で、いったん寝つくことができれば睡眠は維持できるという人に適しています。
中途覚醒・熟眠障害・早朝覚醒を併発している場合には、「途中で起きてしまった」と効果が乏しく感じる場合があるかもしれません。
作用時間の長さで選ぶ
夜中に目が覚めやすい人は、短時間~中時間作用型の睡眠薬を選びましょう。
ただし、作用時間が長めの睡眠薬は向精神薬に指定されているものがほとんどで、通販では購入できません。
精神科やメンタルクリニックを受診し、処方してもらう必要があります。
通販で買える睡眠薬で一定の睡眠時間を確保できるのは、ハイプナイトやバスピン(バスパー・ジェネリック)など。
超短時間作用型ですが5~6時間は作用が続くので、起床時刻から逆算して服用すれば朝までグッスリ眠ることができます。
副作用の少なさで選ぶ
睡眠薬の副作用が怖い、できるだけ体に負担をかけることなく不眠症を治したいという人には、ベルソムラやロゼレムなどを試してみましょう。
ホルモンに作用して体内時計のリズムを整える睡眠薬なので、睡眠薬で多くみられる頭痛やふらつきといった副作用の心配がありません。